私のつくる灯りは、ほとんどが2W(ワット)でデザインされています。
電球が60w(ワット)だとしたら、30分の1の小さなあかりです。
なぜ電球よりもずーっと小さな2wの灯りにこだわってきたのか?
これまでちゃんと残していなかった気がするのであらためて書いてみたいと
思います。
私はLED照明がずっと苦手でした。10年以上もLEDに関わっていながら実は、
ずっとLEDの光が好きではありませんでした。ハッキリ言えば大嫌い。 同じよう
に感じている方、きっと多いですよね。
LEDの、チクチクとした光。目に刺さるような、LEDのまっすぐ伸びる光。
なごみを感じないし、どうしても好きになれない。LEDを見ていると必ず頭が痛く
なってしまう。これは今も変わっていません。 性質のようなものなのでしょうか・・・。
そんな私が5年前、LEDのデザインを始めたのは、チクチクとんがった光を何とか
して好きになりたかったからでした。
LEDの光は嫌いだけど、でもものすごくecoで、米粒大の大きさ。
デザインの可能性は無限大。LEDは技術的・デザイン的にはすごくいい子なんです。
好きではないけどずっと気になる存在でしたね。
デザインを始めた当初、フォルムや配光をつくるいわゆるデザイン、というよりむしろ
光空間の中で過ごす”人体実験”を繰り返していたにすぎません。
しかしその頃やっていた人体実験が、後々、徐々に意味を持ちはじめたのです。
実験のために自力制作したラボ
床は廃材。壁は照明効果を意識して左官で仕上げ
ニッチ・壁面照明・各種間接照明・棚下・エッジライト・スポットなど
思いつくものはすべて盛り込んだ
真冬はストーブ&練炭を焚きながら作業に没頭
初めて灯りが入る。
当時は実験といっても私ひとりしかいませんので全て自分の身体を使う人体実験。
この角度から光照射すると頭が痛くなる、、とか この光ならなごんで眠気を感じる
よね、など、企業や大学のアカデミックさとは程遠いものでした。
が、、取りつかれたように実験を繰り返す日々。
実験テーマを100以上並べて向き合いました。
大雪の夜も実験
夜な夜な一人で実験を繰り返すというシチュエーションがとにかくバカバカしくて楽し
かったのと、光によってこんなにも感じ方が変わるんだということに新鮮な驚きもあり、
毎夜実験を繰り返す日々。それを1年半くらいやっていましたかね。
我ながらよくも飽きずにやっていたものだな、と思います。
その後、取り組みを面白がってくれる人がポツポツ出てきて、企業の開発者が見学に
来て意見交換したり、大学の先生たちが各地から集まり、実験小屋でまさかのシンポ
ジウムを開いたりと不思議な展開が続きました。
東京ビックサイトで講演や、シンポジウムで発表の機会もいただきました。
今もラボには面白い方が集まります
普通、企業や大学で行う実験・研究は、仮説をもとにそれを証明するための
モニターテストを行うのが常ですが、実験も短時間なものがほとんどで、その
空間で長期間すごしたり、何日も掛けて光の効果を体感することは、どこも
やっていないそうです。
研究者やデザイナーがやりたくても、様々な大人の事情で不可能、、、という
のが実情のようですね。
さまざまな事情があるにせよ、本当に課題を解決しようとするならばやってみな
くては。とことん、向き合わなければ。
本当に大事なのは、本当に、そうだってことを示すことだと私はと思っています。
ラボ実験では、いったん明るい照明を作ってから、徐々に引き算していく方法を
取りました。作っては、過ごす、改善して、また過ごすを何度も繰り替えす日々・・・汗
長期間の試行錯誤の上、最終的にたどり着いたのが2Wの灯りだったのです。
私がはじめて好きになったLED 電球型のLiLi(ライライ)
これが2Wの灯りを作り始めたルーツです。
2018-01-12 16:25:43
デザイナーズブログ